前回、初級編のスパイスについてお話しました。
記事をまだ読んでないかたは先にこちらからどうぞm(__)m
前回のまとめ
前回は基本的なスパイスとハーブのご紹介をしました。
前回のお話のまとめ
- パセリ、オレガノ、タイム、タラゴン、フェンネルシード、ローリエ、6種類のハーブを紹介
- ジンジャー、マスタード、オールスパイス、3種類のスパイスの紹介
- それぞれの特徴と使い方を解説
- 乾燥したハーブはスパイスとして取り扱う事もある。
今回は【具体的に】スパイスとハーブの違いについてお話をしようかと思います。
前回、スパイスとハーブの違いについて、簡単にご説明はしましたが、今回は話を深く掘り下げようかと思います。
料理へ使用目的が似ているスパイスとハーブの違いってどこにあるんでしょうか?
普段何気なく使ってるスパイスやハーブをもっと知ることで、普段のお料理の味がぐっと引き出せるように解説していきたいと思います。
この記事の信頼性
調理師の免許を持ち、レストランで働くこと20年。素材の味を活かす調味料の使い方を勉強してきました。(フランス料理、イタリア料理、ホテルの婚礼レストラン、自然食レストランで修行)様々な現場で働いて得た知識や経験談をお届けします。
スパイスの定義
まず、スパイスの定義から見ていきましょう。
スパイスとは「香りや刺激のある植物由来の食品で、料理に香りや辛味を加えるもの」とされています。スパイスといえば辛味のあるもの、と思われがちですが、辛味のあるスパイスはごく少数しかありません。
辛味というより、食材のくさみを消すための香り付けとしての役割が大部分となっています。
ハーブの定義
一方ハーブはどうでしょうか。
ハーブはもともと、薬草として扱われてきた歴史があり、医療や治癒に使われてきました。そのため現在でもハーブを利用したお茶やお酢(ドレッシング含む)、香りの成分を抽出したエッセンシャルオイルなどが活用されています。
また、ハーブもスパイスと同じように食材のくさみ消しや香り付けに使用され、その他防虫などにも使用されることがあります。スパイスとの明確な違いは「薬草成分を含んでいる、刺激がある、辛味を加える」という点がないですね。
スパイスとハーブの違いについて
2つの定義を見比べて、それぞれの特徴や違いを上げてみましたが
実は日本でこの2つの違いに関する厳密な定義がないのが現状なのです。
何故かというと、おなじ植物であっても、国によって使用方法が違うからです。
パクチーを例に出してみると日本やヨーロッパでは、葉の部分を食するのが主流ですがインドでは種を乾燥させたコリアンダシードなどが活用されています。
またクローブはスパイスとして分類されるものの、花の蕾(つぼみ)を乾燥させて使っているので植物学的にはハーブなのでは・・・?となります。
タンポポ茶のように、タンポポの根を使っているのにハーブとして分類される事もあります。
このように明確な違いがなく、どこに線引したらいいのかと言うと
ヨーロッパにおいて自家栽培できない根、茎、果実、種子をスパイスと呼び、自宅で自家栽培できる草や花をハーブと呼ぶ。このような認識で使い分けがされています。
タンポポの根も、分類的にはスパイスと間違えそうですが、自家栽培出来ることとタンポポの持つ薬草成分の役割が大きい事からハーブとして分類されてるのでしょうね。
もともとスパイスは大航海時代に食材を腐敗させない目的としてコショウやコリアンダーが流行しましたが、ハーブは一般家庭にある草、花の中から医療、食用として活用されてきました。
その為、スパイスはヨーロッパでは大変貴重な存在で高価売買されていましたが、ハーブはごく日常にありふれた存在となっておりました。
まとめ
- スパイスとハーブの違いに関する明確な定義はない
- 利用する地域、国によって用途が変わってくる
- 自家栽培できない根、茎、果実、種子をスパイスとして扱う
- 自宅で自家栽培でき、薬草効果のあるものをハーブと呼ぶ
このようにハーブとスパイスを厳密に区別することは難しく、利用する地域だったり国によって用途が変わってくるので大変興味深いですね。
書店でも「スパイス・ハーブ辞典」などのように、まとめて取り扱っているのが現状ですね。